その事故は突然やってきました。
遊びに出かけた帰り道、高速走行中に左後輪がバースト。120度ほどスピンした後に中央分離帯に接触し左側に横転。20mほど滑走し停止後出火し全焼。
幸いにも同乗者にも第三者にも死者を出さず、また大きな怪我もなく済みました。
同じキャンピングカー乗りの皆さんに注意喚起では無いのですが、気をつけて欲しい事のひとつとして、また参考になればと思い、体験した記録を残しておきたいと思います。

事は2018年6月3日、自分と弟・息子と一緒に友人達との交流を終えた後の帰り道。高速走行中に発生しました。事の経緯はこんな感じです。
天候条件は穏やかな晴天で風もほとんどありませんでした。

  1. 追い越し車線を走行中に左後方で”バン!”という大きな異音が発生。左後輪がバースト。
  2. ブレーキは急激な車体の挙動を不安定にさせるためアクセルを緩めるのみの対応。
  3. 車体左後部が左にドリフトし始めた為、カウンターを当てるが、押さえられず車体が120度ほどスピン。
  4. 車両左前部が中央分離帯のガードレールに接触し、反動で左側に横転。そのまま20mほど滑走し停止。
  5. 息子は最後部のはめ殺しの窓が横転時に外れたため、そこから車外に脱出している事を確認。「車外より火が出ているから早く逃げて!」と聞こえてきたため、自分と弟は荷物などは無視して運転席のドアから脱出。
  6. 息子と弟を安全な場所へ待避させた後、トラックの運転手さんが消化器を持って来てくれたのを借りて消火を試みる。いったんは消火出来たが、熱により同じ場所から再出火したため、安全最優先であきらめて待避。
  7. 火の勢いが強く、なすすべ無く全焼。

幸いにも後方車両が、バースト時から危険を察知し離れていてくれたために、追突による2次災害が発生せずにすみました。

燃え尽きた車両

もともと架装重量のある車体である事は自覚していたため、足回りにはかなり気を遣っていたのですが、事故は起きてしまいました。自分が気をつけていた点は次の通り。

  • タイヤを高耐荷重のトラックタイヤに変更
  • 空気圧は出発前に確認し目視点検
  • ハブボルト(ホイルを固定するボルト)は車検毎に全数交換
  • エアサスの導入

ですが、今回のように起きる物は起きてしまった訳です。
今回出かけた際に未舗装のキャンプ場を利用したのですが、そういった場所もしくは走行中に何かを踏んでタイヤに傷がついて、徐々に空気が漏れ低圧になってバーストに至ったのではないかと考えます。さすがにお出かけ中の空気圧チェックまではしていませんでした。TPMS(空気圧モニタ)を装着していればもしかしたら免れられた可能性もありますが、あくまでも結果論。

乗用車に比べて絶対的重量があり重心の高いキャンカーは、日々の対策・点検を確実にしたとしても100%の安全を確保する事は難しいと考えます。近年ではTPMS付ける事で空気圧の確認が出来ますので、それを付ける事もひとつの対策だと思います。しかしTPMSを付けていても、変化をとらえて警報が出るのと事が発生するのがほぼ同時という報告も良く聞きます。

以前の自分ならタイヤも幅広、高対荷重のトラックタイヤにしてあるし、サスも十分対応能力の高い物にしてある、スタビライザーも交換して車体安定!ハブボルトも定期交換してるし安全にしてる!って思ってました。確かにそれらは走行中の車体を安定させることに関しては十分な効果を発揮していました。もちろん不安定より安定していた方がいいです。ですが、走行中不意に襲いかかるタイヤへのアクシデント。何かを踏んでバーストする、この外的要因に対応しうる対策を考えた際に、自分の中で明確な対策を思い浮かべることが出来ませんでした。

皆さんには是非次のポイントだけは抑えていただければ幸いとおもいます。

  • スピードは出せば出すほどアクシデント時に被害が大きくなります。スピードはホントに控えめに。
  • シングルタイヤでも速度が出ていなければ横転を回避することも出来るチャンスがあります。
  • 安定性が増す対策を施した場合、操縦安定性は上がりますが速度が上がり危険度も上がります。
  • 安定性=アクシデント時の安全性 ではありません。

結局の所バーストしないタイヤなんて無いですし、出来うることはそんなに無いわけです。自分の場合は現状出来る回答としてリアダブルタイヤの選択に至りました。

100%の保証なんて有りませんが、次に自分がキャンピングカーに乗ると考えた時に、最低限の安全クリア条件を書いてみたいと思います。ここに記載する条件はあくまでも個人的な意見です。

  • ベース車両は後輪ダブルタイヤ
  • トラックタイヤ
  • タイヤは3年を目処に交換
  • 車検毎のハブボルト交換(シングルタイヤの場合)
  • 車検証記載の軸重量記載数値が架装終了後の全架装済み後の数値であること(架装前の仮車検時の数値でない事)
  • 空気圧モニタ装着
  • 適正なトルクでのナット締め付け
  • スピードは控えめに、法定速度での走行を心がける(追い抜き時でも法定速度の+10%以内)
  • タイヤ指定速度記号の示す速度以上は出さない

ダブルタイヤ

ダブルタイヤは維持管理コストも掛かりますが、事が起きて死亡事故でも起こしてしまったら意味が無いと考えます。ダブルタイヤだから100%安心と言う事ではありませんが、出来る限りリスクを減らすと言う意味では重要であると考えています。
万が一バーストしたとして片輪2本が同時にバーストする確率は低いはずです。2本の内1本でも生きていれば、安全に停止できる可能性は高くなります。とにかく横転しないで止まれることが重要と考えます。

トラックタイヤ

出来るだけ高耐荷重のタイヤを装着するのが望ましいと思います。キャンピングカーはトラックで言えば常に上限積載であると考えるべきであり、車重に対して十分余裕を持った耐荷重のあるタイヤを装着するのが安心です。トラックタイヤ(ライトトラック系を含む)と呼ばれるタイヤであれば、耐荷重も余裕があります。もちろん何でもかんでも荷物を載せないように気を付ける事も重要です。

タイヤは3年を目処に交換

3年を経過したタイヤと、新品の同じ製品のタイヤを並べて比べるとよく分かりますが、あきらかにサイドウォールの劣化が確認できます。常に高い重量にさらされたタイヤは痛みやすい物です。3年から4年を目処に交換したいものです。

ハブボルト交換(シングルタイヤ)

シングルタイヤの場合ハブボルトを車検毎に交換をしたほうがよいと思います。ハブボルトが折れる原因は、ハブ径とホイルの径が合っていないとか、ホイルの接地面がハブの接地面と上手く合っていない場合など、無理な力が加わっている状態で発生します。正しくない状態で固定された場合、ホイル側のボルト穴が応力により広がったりし、その結果ボルトに負荷が掛かり破断に至ります。ボルト交換はあくまでも安全対策であり、抜本的対策では有りませんが、リスクを少しでも減らすという意味でした方が安心という考え方です。当然、ホイルの仕様は正しい物としての前提です。

適正なトルクでのボルト締め付け

ボルトナットの締め付けについては様々な意見があると思いますが、やはりメーカー指定トルクで締める。これに尽きると思います。また締め付け走行後の増し締めなども有効です。指定トルクでの締め付けにはトルクレンチが必要になりますが、昨今ではそれほど高価な代物でも無くなってきていますので、安全の為にも自分で持って管理出来るようになるといいかと思います。タイヤショップで履き替えなどをした際にトルクレンチで締め付け管理をしてくれるお店を見つけるのもいいかもしれません。

車検証記載の軸重量

実はこの軸重量の記載には問題が有る場合があります。ビルダーで陸運局で車両を登録する場合に、架装前の外装のみを取り付けた状態(車外のオーニングや車内のシート、家具、冷蔵庫や電装物を取り付けていない空の状態)で仮登録を行った場合、未架装状態の軸重量が車検証に記載されてしまいます。仮登録後に架装が追加された場合は、追加架装分の重量は加味されません。車検証記載の軸重量数値が小さい(軽い)といって自分の車は大丈夫だと思うのは危険であると言えます。かならずビルダーに確認し、架装終了後の軸重量であるか確認するのが大切です。心配な場合は軸重量を計測するサービスなどで実際の軸重量を計測すれば、車検証記載の軸重量との差が分かりますので参考にすると良いと思います。

ちなみに事故を起こした我が家の車輌はこんなアイテムを使って軸従量を計測して確認はしていました。計測結果を見て車検証との違いに気がついたのです。そしてかなり注意をしていたのですが残念な結果になってしまいました。

キャラバンウェイトコントロール
計測風景

TPMS(空気圧モニタ)

近年空気圧モニタは安く販売され初めています。タイヤの圧力と温度をモニターし、異常値が検出されると警報を出してくれます。 キャンピングカーのタイヤの様に高圧に対応した物もあります。しかし100%の過信は禁物です。空気圧モニターを取り付けていてバーストを体験された方の話をネットなどで見ると「バースト直前に警報が出て速度を落としている内にバーストした」とか、「バーストと同時に警報がなった」とか、かなり直前でないと警報が出ない感じをうけます。しかし付けていた事で多く方が大事に至らなかった事は事実ですので付けるべき物であると考えます。

最後に

楽しい時が一瞬にして悲しみに落とされる、とてもいい事ではありません。出来る事ならこういうことは無い事が一番です。自分の場合はたまたま、ほんとに偶然、奇跡が重なって死者も出さずに 第三者を巻き込む事もなく 単独事故で済みました。提言した対策はコストとの兼ね合いもありますが、悲しい思いをしない様出来る限り安全マージンを確保できる様努力したいと考えます。

現在キャンピングカーを楽しんでいる皆さん、そしてこれからキャンピングカーを考えている皆さんのひとつの知識としていただければ幸いと考えます。

最後に息子が学校で書いた感想文を載せておきたいと思います。

「奇跡」

 皆さんは、奇跡を実感した事はありますか? スポーツの試合や学校のテスト等、大事な局面で思いもよらない 結果になることなど、様々なところで起こる可能性があると思います。

 そんな中でも私が実際に体験した奇跡は命に関わることでした。 今年の六月に私は家族と山梨県へ旅行に行っていまし た。私の家にはキャンピング力ーがあり、旅行に行くことは珍しいことではなくこの時も毎年恒例の行事でした。

 そしてその帰りに命に関わる事故は起きました。

 県外なので当然高速を使っており、帰りで疲れていた私は車の一番後ろで寝ていました。

 キャンピング力ーなので一番後ろが二段ベットのような形になっており、その上段で寝ていました。ふと目が覚め、近くにあった携帯で時間を確認し、もう一休みしたら家に着くかだろうと思い、うとうととしていました。

 それからしばらくすると普通では聞こえないような金属音が聞こえてきて、最初は道の悪い場所に入ったのかと思いましたが、高速を走っているのでそのような場所は無いと思い異変に気がつきました。

 その後は一瞬の出来事でした。車はどんどんと右へ寄っていき中央分離帯にぶつかってから左側を下になる形で転倒し二十メートルほど滑ってから停止したのです。

 このときには遠心力で倒れていくのがわかり、私はとにかく自分の身を守るために寝ていた布団に丸くなりました。すさまじい衝撃で足下が凹んでいくのがわかり、とても怖かったです。

 このときはもうだめかと思いました。しかもこの途中、転倒の衝撃で寝ていたベットの後ろの窓が枠ごと吹き飛び滑っている時にその穴からそとに投げ出されそうになり外が見えたのです。必死に中に戻りました。

 もし投げ出されていたら今生きているかもわかりませんでしたし、生きていてもどんなけがをしていたか考えるだけでもとても怖いです。

 車が停止したら運転席の方から父が「大丈夫か!?。」と呼ぶ声が聞こえ「大丈夫だよ!」と答え吹き飛んでいた窓から脱出し運転席の方へと回り外にいることや、とりあえず動けている事などを伝えて車から離れていました。

 しかし数十秒経つと横になった車の下から炎が出てしまい、近くにいた他の人が「やばい」と言ったことで私も気づき、中にいる二人に「速く逃げて!」と叫びました。普通の車と違いガソリン以外にもプロパンを積んでおり、それに引火すると爆発してしまうのではないかと思い、残っている二人のことがとても心配でした。

 ですがその後二人とも運転席側から出てきて外で合流しひとまずここで安心でき、三人で車から離れ警察や消防、救急がくるまで待っていました。

 その後は左腕を大きく擦りむいていた私をその場にいた他の人が応急処置してくださりほかの方にも水を分けてもらえたりしました。とてもうれしく、また本当に助かりました。長い間様々なところへ乗っていた車が燃えていくのをみながら家にいる家族へ連絡したり事情聴取を受け、怪我をしていた私とおじさんは近くの病院へ搬送され、父は現場に残り事後処理をしていました。私の怪我は擦り傷が殆どで残りは左足の人差し指を骨折ですみ、おじさんも車から降りるとき にタイヤの上に乗ってしまい動いていたのに流されて降りたため着地に失敗してかかとにヒビが入っていただけでした。骨折だからだけでも大けがだと思いますが事故の大きさに比べればむしろこの程度ですんだのは本当に奇跡です。

 父が合流し母が迎えに来るまでの間に事故の話を聞いていました。どうやら左後ろのタイヤがバーストし数十秒間耐えていたらしいですが立て直せず中央分離帯に衝突してし まったらしいです。

 警察の人や消防の人もこれだけの事故で誰も亡くならなかったのは奇跡だと言っていました。もし車が逆の方向に倒れていたり、私が反対側を頭にして寝ていた、もしくは後ろの窓が残っていたら。結果は変わっていたかもしれません。

 ですがそれが奇跡なんだと、良い方向へ偶然が重なって起きたことが奇跡なんだと私は思います。